山梨学院中学校
共学校

『パーソナルプロジェクト』での発表には、大学で通用するほどの研究もある
国際バカロレアコースの開講が導く
グローバル標準の教育で夢の実現を応援
[ この記事のポイント ]
自由な発想とロジカルな手法で、自らの興味関心をとことん探究。
中学での学びの集大成ともなる、国内外のプログラムへの積極参加。
東大、国公立大医学部だけでなく、海外大にも広がる進路。
国際バカロレアを柱に グローバル教育を推進
幼小中高一体となり、国際バカロレア(IB)を柱とした改革『ワールドスクールプロジェクト』を推進する山梨学院。今春、高校で『IBDPコース』が開講、その土台ともなる学びが中学で展開されている。生徒自身でテーマを決め、探究し、1年間の成果を論文にまとめて発表する『パーソナルプロジェクト』はその象徴的なプログラムだ。「IBやその先につながるアカデミックポリシーの涵養や論文作成能力、プレゼンテーション能力の育成はもとより、これを中学課程で経験することは、人間形成の上でも大きな意義がある」と山内紀幸校長は語る。
生徒が純粋な興味から設定するテーマは多岐にわたり、緻密な調査と豊かな想像力で関ヶ原の合戦で西軍が勝つシナリオを描いた生徒や10代からの選挙権を多角的に検証した生徒、自家農園での実験を繰り返し、より長く美味しいブドウを楽しめるジベレリン処理(ブドウを種無しにするための薬品処理)の方法を探った生徒、一からタブレットを造り上げた生徒もいた。
もちろん、探究の道程は平坦ではない。時間を掛けて準備した実験に失敗、前提とした仮定が途中で崩れることもある。しかし、それもまた貴重な糧。山内校長は「諦めず懸命に取り組んでいくと、明かりが射す瞬間が訪れることがある。今までと同じ景色も、どこか違って見える。そんな経験を生徒たちに持たせたいのです」と、その目的を語る。
優秀な論文には、全校生徒の前で発表する栄誉が与えられる。またコンクールや資格試験、スポーツや芸術分野での活動についても、努力して成果を上げた生徒を、全校で称える。そうすることで、「次は自分だ」という強い意識や、探究することはおもしろい、努力することは楽しいという雰囲気が醸成され、先生方の、伸びる芽はどんどん伸ばそうという情熱も高まる。その結果、意欲のある生徒が学年の枠を超えて学びに取り組む風土が根づき、学校全体で生徒の夢の実現を応援する体制も定着するのだ。
「科学の甲子園ジュニア」全国大会で山梨学院中チームが並み居る強豪を押さえ7位に入賞したのはその一つの成果である。昨年10月に成功した国際宇宙ステーションとのスクールコンタクトも、始まりは生徒の発案。一人の夢が学校全体の夢となって、一つまた一つと実現されていく環境がここにはある。そうした経験は思春期の生徒たちの心に刻み込まれ、豊かな人間性の糧となり、その人生にも大きく影響することだろう。