桜美林中学校
共学校

中学校舎の様子
教科書だけではない多彩な体験が国語力の鍵
多方向から深く考え判断する力を育成
[ この記事のポイント ]
論理的思考力を育成するため、評論文の教材を重視した授業を展開。
「なぜ?」「どうして?」という声を大切にし、思考の幅を広げる。
「礼拝の時間」によって、生徒の学びや理解がさらに深みを増す。
「言語力」と「思考力」の両方を 鍛える独自の国語教育メソッド
桜美林の国語教育の大きなねらいの一つに、「多角的な視点で深く考える思考力」の育成が挙げられる。人は日常的に、頭の中でさまざまなことを思考しているが、そのベースは「言語」であるため、思考力の育成には国語力が不可欠だと考えているからだ。
もともと同校の国語の入試では、受験生の論理的思考力を見極めるため、主題が明確な「評論文」を題材にした問題を多く出題している。同じように国語の授業でも評論文を多く使用しているが、そこでは単に文章の主題を読み取るだけでなく、子どもたちの「なぜ?」「どうして?」という声を尊重し、多角的な方面から分析することで、論理的な思考力を育成している。
「よく保護者の方からうちの子は国語が苦手だからどうしたらいいか、という相談が寄せられます。そんなとき、私は中学生のうちは博物館や美術館に行ったり、テレビのニュースについて家族と会話を交わすなど、さまざまな体験をさせてくださいとアドバイスします」と語るのは、国語科の首藤元彰教諭。国語力と思考力の育成には、自らの体験に裏打ちされた知識が重要だと言うのだ。
たとえば「五重塔はなぜ倒れないのか」という文章があるとする。ほとんどの子どもは耐震や免震についての知識がなく戸惑うことが多いが、旅行先で古い建築物を直に見たり、触れたりする経験があるだけで文章に入りやすく、理解が進みやすくなるのだという。
「いろいろなものに好奇心を持つことこそ、国語を得意にする第一歩。一見遠回りに思えますが、文章を深く理解するには頭の中で具体的なイメージが描けなければなりません。体験を通じて多くの予備知識を蓄積することによって、文章の内容がよりイメージしやすくなり、深い理解に役立つのです」(首藤教諭)
また、どんな長文問題でも、文章のまとまり(意味段落)に注目すれば、短時間で問題を整理し、正解することができると首藤教諭は言う。「日本語の評論文においては、主語や接続詞のある段落は、筆者が強調したい部分と考えていいでしょう。その前後には、主張(意見)を裏付ける具体例があることが多いので、主張と裏付け、結論をひとまとまりとして考えるよう指導しています。評論文を読むときは、最初と最後の段落だけでなく、意味段落を意識して読み解くことが重要です」
このような「言語の理解」と「思考力の育成」をリンクさせた巧みな授業、そして大学入試にも直結するテクニックの指導で、生徒たちは社会でも役立つ国語力を身につけていく。これこそが、桜美林ならではの国語教育の真骨頂と言えよう。