武蔵中学校
男子校

科学界で燦然と輝くOBたちも同じ黒点観測作業をしていたのだ
旧制高校の教養教育の伝統を継承 太陽観測部のOBはJAXAでも活躍
[ この記事のポイント ]
幅広い視野と教養を備えた専門家の素地を作る。
名だたるOBを輩出し続ける武蔵の「太陽観測部」。
主体的に学ぶ姿勢を尊ぶ「自調自考」の精神。
現役の研究者でもある教員と 探究心旺盛な生徒が出会う場所
17年竣工の「理科・特別教室棟」は、敷地のほぼ中央、濯川のほとりにある。エントランス脇では巨大なフーコーの振り子が出迎え、廊下には古い実験器具や各種標本が並び、屋上には本格的な天体観測ドームが備わっている。本物に触れながら幅広い知識と教養を得ることを旨とする、武蔵の精神を体現する施設だ。
現在の「大学の教養課程」にあたる旧制七年制高等学校として誕生した武蔵。そのアカデミックな校風はいまなお色濃く受け継がれ、理科教員はほぼ全員が修士号か博士号を取得していて、それぞれに研究テーマを持っている。研究室には洋書を含む多くの書籍や先進機器が整えられ、放課後ともなればそこへ生徒がやってきて議論に花を咲かせる。「武蔵生は根本的に学ぶことが好きな生徒が多いですね」と話すのは、理科の川端拡信教諭。「授業でやった内容を自主的に深掘りし、課題でもないのにレポートにまとめてくる。せっかくなので授業で発表してもらうと、教室に拍手喝采が起こることもあります」。どのクラス、どの教科にもこうした牽引者の存在がある。出会う大人の数だけさまざまなチャネルの刺激を受け、視野を広げていく生徒たち。武蔵にとって学校とは、〝大人と少年の知的交流の場〟なのだ。