武蔵中学校
男子校

アカデミックな学びと外の世界を見る体験が
尊敬されるリーダーを育む
[ この記事のポイント ]
武蔵中学校校長 杉山剛士
武蔵高等学校中学校を経て、東京大学教育学部教育学科卒業、同大学院教育学研究科修士課程修了。専攻は教育社会学。埼玉県教育局文教政策室長、埼玉県教育局高校教育指導課長、埼玉県立浦和高等学校長を歴任後、2019年4月より現職。
「自調自考」のエンジンはいかにして身につくか
私立第一号の「旧制七年制高等学校」として誕生した武蔵。旧制高等学校とは、現在の大学の教養課程にあたる。学問を志す空気は今も色濃く、教員はみな個人研究のテーマを持つ現役の研究者だ。職員室の代わりに研究室に席を置き、放課後ともなればそこで生徒との活発な討論が繰り広げられている。杉山剛士校長は「教員の研究レベルは日本一」と胸を張る。「だからこそ問いかけが深い。学問の本当の面白さを伝えることができるのです」。杉山校長もかつて武蔵で学問を志した一人だ。卒業後は東大教育学部に進み同修士課程を修了。そして昨年の春、『新生武蔵』の先導役として43年ぶりに母校へ戻った。杉山校長をはじめ、OBの誰もが口を揃えて語る武蔵の魅力がある。『自調自考』の精神だ。例えば群馬県の赤城山を散策する中1の山上学校でのこと。山では思わぬトラブルがつきものだが、教員は一切口出しをしない。そこでは何より生徒たち自身による試行錯誤が求められる。自調自考の精神は一朝一夕にはあらず。見守る教員の度量と、自らの五感をフル活用した試行錯誤の経験値をもって、徐々に自らの内にセットされてゆくのだろう。