学習院中等科
男子校

大野剛・学習院大学教授の「特別授業」。専門分野のお話だけでなく、科目横断の視点の大切さを強調
地球と生命の46億年の進化の歴史を学ぶ大学に隣接しているからできる深い教育
[ この記事のポイント ]
1.中高大のスムーズな連携がかなえる学習院の豊富な学びの機会。
2.大学ならではの領域を横断した学びを間近にする「特別授業」。
3.全学年の生徒が参加できる「夏休み理学部研究室体験」。
アカデミックな理数の学びを中学で体験できる
学習院中等科では、隣接する学習院大学理学部と連携し、中3理科の授業内で「特別授業」を行っている。同大理学部は数学科、生命科学科、物理学科、化学科の4学科で構成されているが、各学科から教授を招き、大学さながらの授業を展開。理科の土屋良太教諭は「大学の学びを実際に体感できる機会。普段の授業での学習が、将来、どのような研究につながっていくか、実社会や現実の事象といかに関わっているかに気づいてもらえたら」と語る。
これまでの「特別授業」で各学科の教授が語るテーマは、数学科「モーリーの正三角形」、生命科学科「ヒトゲノム(設計図)を解読してなにがわかるのか?」、物理学科「宇宙環境と微少重力」など、中学段階での学習内容や理解度を踏まえながらも、学科の特色が表れた高い専門性を感じさせるものばかり。昨年、「特別授業」で教壇に立った化学科の大野剛准教授は「地球の歴史を化学で読み解く」をテーマに取り上げた。「地球はいかにできたのか、生物はどのように誕生したのか。誰もが一度は考えたことのある素朴な問いですが、普段の生活では、深く考える機会はあまりないと思います。しかし大学では、こうした問いに正面から取り組んでいる。アカデミックな世界が、中等科の皆さんのすぐそばにあることを知ってもらいたい」と、大野准教授は語る。
「特別授業」では、年代測定で用いられるジルコンの標本を生徒に触れてもらうことに始まり、太陽系の成り立ちや生命の起源、酸素が生まれた過程などについて、生物や化学、地学といった科目の枠を横断しながら、マクロな視点から講義が展開された。大野准教授は「大学でのアカデミックな研究は、生物や化学といった、細分化された視点で捉えられるものではなく、あらゆる領域が相互に関わり合うことで、謎や疑問を解くためのカギをようやく掴むことができるのです」と語る。