富士見中学校
女子校

「生き物探究学習」の様子
英語教育と探究学習が育むのは
深い思考力と広い視野。そして勇気
[ この記事のポイント ]
1.自ら学ぶ探究学習が、生徒の「勇気」を掘り起こす。
2.世界の最新トピックスに触れ、視野を広げる英語教育。
3.算数一科目入試を新設。間口を広げ全ての生徒に知的刺激を。
自分の頭で考えたことを自分の言葉で語るために
今年創立80周年を迎えた富士見中学高等学校。社会に貢献できる自立した女性を育むために、〈自分と向き合う力・人と向き合う力・課題と向き合う力〉という具体的な3つの力を育成する。その柱となる活動が『探究学習』だ。中学の3年間で「問う・調べる・伝える」という学年目標を設定し、各ステップを着実に踏めるよう体系化した。小村修高校教頭は、「問いを立てるためにはまず自分が疑問を持たなければならない」と話す。「そのため生徒が自ら興味・疑問を抱く仕掛けをたくさん用意しています」。
長野県郊外で行われる『生き物探究学習』もその一つだ。例えば現地では「この畑で鳴いているキリギリスは何匹か?」をテーマにグループワークを行った。道具も何も持たないまま畑の面積を割り出すことから始まり、鳴くのは雄か雌かなど多方面から自主的にアプローチ。まるで科学者のフィールドワークのような取り組みが、自ら学ぶ意欲と姿勢を育む。
探究学習における中学の最終目標は「卒業研究」だ。中3の1学期、自ら設定したテーマについて調べ学習を進め、夏休みに現地調査、芙雪祭には中間発表として研究をまとめた「卒研本」を展示する。最後は保護者や後輩に向けてポスターセッションを行うが、「1年次から体系的に取り組んだことで近年明らかに内容が充実してきた」と小村教頭は胸を張る。「考察の着眼点が鋭く、自分の頭で考えたことを自分の言葉で語ることができるようになりました」。どのような質問にも堂々と受け答える先輩の姿は後輩にとって憧れであり目標でもある。富士見生の意識の高さが受け継がれる瞬間だ。昨年度は「覚醒」をテーマにした卒研本が全国図書館コンクールで入賞を果たすなど、その成果も目覚ましい。