鷗友学園女子中学校
女子校

生徒の互選で選ばれたクラス代表が行う現代社会の学年発表会
政治や国際摩擦のニュースは別次元 議論を戦わせることで相手を理解する
[ この記事のポイント ]
1.自らの興味を社会に則して探究する「現代社会」のレポート。
2.国際シンポジウムへ参加し「論理に基づく議論」を体験する。
3.「3日に一度の席替え」で多様な価値観を認め合う。
活発な質疑応答が繰り広げられる現代社会のレポート発表
教壇には一人の生徒が立ち、パワーポイントを用いて研究発表を行っている。テーマは『広がる子どもの貧困』。中3現代社会の授業だ。綿密な事前学習とフィールドワークを経て、現状に浮かび上がる問題点と改善策を説いた。次々と質問が飛び交い、中には「相対的な貧困がなくなることはあるか?」など鋭い質問も生まれる。社会科の福井守明教諭は、質疑応答における意識づくりを大事にしていると言う。「生徒たちには質問されて分からないことは『分からない』とはっきり言おうと伝えています。その時こそ深い学びを得るチャンス。事後学習につなげることが大切です」。(以下発言は全て福井教諭)
主体的な探究という観点から、鷗友ではこの取り組みを中学3年間の集大成として位置づけ。そのプロセスは、時事問題に基づき自らテーマを設定することから始まる。事前学習、現地調査を経て、結論を見出し、レポートにまとめてクラスで発表。その後、代表による学年発表会を開き、幕を閉じる。中3生にとって集大成だが、この経験が進路選択のきっかけにもなる。「進路指導で大切にしているのは〝何を学び続けたいか?〟という点。このレポートを機に探究テーマを見つけ、進学先を選ぶこともあります」。発表されるテーマは、AIや廃プラ問題、アイドルグループなど様々だ。「一番大事なのは良い問いを立てること。自分が調べて少しでもワクワクするものが良い」。この時、自らの興味をいかに現代社会に即したテーマへ変換するかが重要だ。アイドルグループであれば、経済効果やコンサートの規模、安全性についてなど様々な観点を探ることができ、これが問題発見能力の育成につながる。