海城中学校
男子校

プロジェクト・アドベンチャー
国際的な教育改革の潮流を指針に
受動的な子供を主体的・能動的な創造者へ
[ この記事のポイント ]
1.計画、行動、振り返りのAARサイクルによる成長。
2.宇宙飛行士養成のノウハウを応用した独自の評価指標。
3.高度な教育を取り入れる余白を生み出すためにICTを活用。
OECDが提唱したAARを独自の学習プログラムに導入
海城では、OECD(経済協力開発機構)が打ち出す世界の教育の潮流の最先端に着目し、その考え方を授業や行事に積極的に取り入れている。18年、OECDは世界の学校教育の指針となる「Education 2030」の中間発表において、「2030年に世界を幸福にするのは新たな価値を主体的・能動的に創造できる人であり、その育成のためには「知識(何を知っているか)」「スキル(知っていることをどう使うか)」「人間性(社会とどのように関わっていくか)」の育成と、「メタ認知」と呼ばれる自分自身を客観的に捉え、俯瞰する力の育成が、重要であることを示唆した。ところが実際は、同校においても、入学してくる生徒たちの中には、保護者や塾に手厚く守られ導かれてきた依存心の強い「受動的な学習者」が増えているという。そこで同校では生徒たちを6年間かけて自立させ、主体的・能動的な創り手に育て直すために、グループで課題を解決しながら人間関係を構築する中1、中2の体験学習「プロジェクト・アドベンチャー(PA)」、演劇的な手法を用いて人間関係力や創造性を養う中2、中3の「ドラマ・エデュケーション(DE)」、さらに中2から高1を対象に、各教科の授業枠、教科枠に収まりきらない「尖った」興味・関心を深掘りする学びの場「KSプロジェクト」など、オリジナルの学習プログラムを構築している。
OECDは19年5月に「学びの羅針盤2030」の中で、子供を成長させるには「AAR」、すなわち「Anticipation(計画)」「Action(行動)」「Reflection)振り返り)」のサイクルの確立が重要であると発表した。それを参照の上、「PA」「DE」「KSプロジェクト」に落とし込んで、「AAR」サイクルを習慣化している。例えば体験学習の際には、必ずその体験で何を身につけるのか、事前に「獲得目標」を自覚させる。そして、事後に「振り返り」や「他者による評価」を行う。できると思っていたことができなかったなど、時には事前より事後の方が自分自身の評価が低くなる時もある。何が悪かったのか、よくするためには何が必要なのかを考察することにこそ、成長の種がある。