桐朋中学校
男子校

実験に取り組んでいる化学部の中学生部員
“見えないものを見る力”を育むには
多くの実験と、たくさんの失敗が必要
[ この記事のポイント ]
1.化学部OBから還元される大学レベル・最先端の分野横断の知識。
2.本物に触れる実体験とともに失敗から学ぶ姿勢を大切にする理科教育。
3.科学者としての倫理観を育む多様性の受容とリベラルアーツ教育。
桐朋精神を体現する化学部の活躍
化学グランプリ金賞、国際化学オリンピックの代表候補輩出のほか、日本学生科学賞などでも成果を挙げる桐朋化学部。中1から高3生までの生徒が文系理系を問わず所属する。日々の活動は、「一人一つの研究テーマを」の理念のもとに行われる個人研究とともに部員同士の交流も兼ねた定期勉強会。また、化学部OB会と連携し、大学レベルや最先端の内容をOBが講義する勉強会も定期開催している。実はこれらの活動は、ある一人の部員の積極的な行動が発端だ。その生徒は自分の研究に行き詰まると、専門家である大学教授に自らメールを送りアドバイスを求めるほどまでに問題解決に取り組んでいたという。こうした研究成果や、自ら学んで得た知識を部内で共有させるために始めたのが勉強会で、このOBが卒業後も定期的に同部で行うこの活動が他のOBにも広がり現在に至る。OBによる勉強会のテーマは化学分野のみならず、心理学ほかOBが専攻する幅広い分野に及ぶ。化学教諭の柿澤壽教諭は「一つのテーマを探究する楽しさとともに勉強会を通じて、学問分野を横断した多角的な視点を持つことの大切さ、ひいては科学者の社会的責任の姿勢を育んでほしい」と語る。