入試に込めたメッセージは〝先生との対話〟
数学教育が導く相互理解と学びのスタイル

数学の授業でのルーラキャッチの実験。クラスの仲間との共同作業や議論も重視している
入試に込めたメッセージは〝先生との対話〟
数学教育が導く相互理解と学びのスタイル
[ この記事のポイント ]
1. 『慈愛・誠実・創造』の校訓がすべての教育の根底を支える。
2. 楽しい授業で数学に興味を持たせ自ら学ぶ姿勢を培う。
3. 教員間の情報共有が生徒のつまずきを防ぎ、笑顔を取り戻す。
相互理解のベースづくりの 役割を担う数学教育
鷗友学園女子のすべての教育の根底を支えるのが、創立以来の校訓『慈愛・誠実・創造』だ。これは入試算数の記述問題にもメッセージとして込められている。入試広報部長の大内まどか教諭は「『私はこう考えました。わかってくれますか』と自分の考えを伝え、出題者との会話を試みたり、わからない点があっても試行錯誤し最後まで記述しようとしている解答は評価したい」と語る。言い換えれば、出題者との会話は他者を尊重し共同していろいろな物を生み出す力である校訓の「慈愛」、試行錯誤は自ら意欲を持って学ぶ力である「誠実」につながる。
さらに、これらの慈愛と誠実から新しい事象や価値観を生み出す「創造」が育まれる。創造には多種多様な力が必要だが、その力の一つが論理性だ。数学科主任の本多壮太郎教諭は数学教育の理念を「単に正解を導くだけでなく、その過程、論理的思考力の育成を重視する」と語る。大内教諭も「論理性がなければ、異なる価値観の人との対等な議論は成立しない」という。論理的な思考力を訓練する同校の数学教育は、価値観や国籍が異なる人々との相互理解の基礎を作り、新しい事象を創造する力の育成に大きく寄与している。