立正大学付属立正中学校
共学校

医療機関での職場体験。責任の重さに背中にも緊張感が見て取れる
10代にとって実社会は未知の世界。
あえて飛び出し、チャレンジの機会を
[ この記事のポイント ]
①導入から5年。「R‐プログラム」で生徒の意識を改革。
②実社会を自分に引き寄せて考える「コラムリーディング」。
③「職場体験」で社会に出ることへの不安をぬぐう。
「R‐プログラム」で実社会への第一歩
立正中学校独自の教育プログラム「R‐プログラム」。〈Reserch(調べる力)〉〈Read( 読み取る力)〉〈Report(伝える力)〉の3つの力の育成を目的にしている。このプログラムは、主に3つの活動から構成される。新聞や雑誌のコラムを読んで自分の意見をまとめ、発表する「コラムリーディング」、読書活動を促す「読書ノート&リーディングマラソン」、そして「キャリアデザインプログラム(進路学習)」だ。各活動をリンクさせながら行われる取り組みもあり、あらゆる方向から3つの力を定着させていく。
「キャリアデザインプログラム」の一環として中2・3の夏に「職場体験」が行われるが、その事前準備の一つとなるのが「コラムリーディング」だ。仕事に関するコラムがテーマに取り上げられ、生徒は実社会に目を向けていく。あるコラムは、カラオケ店が集客率を上げるために行った新サービスについて。客が減る平日日中の稼働率を上げるためにビジネスパーソン向けに低料金で部屋を貸し出し、会議や商談、出先の作業スペースとして活用してもらおうという試みをまとめた内容だ。これをヒントに、次は生徒自身が身の回りにあるお店やサービスの工夫を調べたり、グループ単位で新しいサービスのアイデアを考えてクラス内でプレゼンしたりと、実践的な活動へと展開していく。
プレゼンでは実に多様なアイデアが出た。中でも生徒から賛同を得たものは「学校の食堂へのポイントカード導入」。質疑応答では「個人の情報と獲得ポイントをいかに管理するのか?」といった具体的な質問も。それに対して「生徒全員が持っている学籍番号と連携させて管理する」など、適切な解決策が提示された。「質問内容を想定して準備をしていたのでしょう。消費者の立場でサービスを見つけるのは容易でも、オリジナルのアイデアや方法を生み出すのは難しい。社会や仕事を軸にして思考訓練を積むことで職業観が育まれ、『職場体験』でのものの見方や感じ方も変わるはず」と、国語科の加藤咲佳教諭は語る。