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獨協埼玉中学校
共学校

ケンブリッジ大学出身のドン先生が「先進英語教育プロジェクト」を推進
アジア諸国内でも劣る議論の力を強化。
「語学の獨協」が挑む新しい英語教育
[ この記事のポイント ]
①日本人の英語力の弱点を把握し、適切な英語教育を実施。
②キャリア教育へも波及した高1「スピーチコンテスト」。
③アカデミックな英語力を育む新たな取り組みがスタート。
日本人の英語学習時のハードルを克服するために
獨協埼玉は「語学の獨協」として知られる獨協大学を併設校として持つだけに英語教育に対するこだわりは強い。日本人が英語を学ぶ際のディスアドバンテージを解消したいという確固たる意志のもと、指導をますます充実させている。
「例えば、『私は英語を学ぶ』を英語にすると、文法的に『英語』よりも『学ぶ』が先に来ます。こうした日本語と英語の言語の構造の些細な違いが大きな壁になる」と英語科主任の竹内友洋教諭は言う。「本校からの進学者も多い獨協大学には留学生が大勢います。彼らと英語でディスカッションすると、日本人学生の英語は劣っている。ネイティブスピーカーが相手なら仕方ありませんが、アジア諸国など、非ネイティブにも引けをとるのが現実」と続ける。何も日本人の能力が劣っているわけではない。留学生の母語と英語の言語特性に共通点があるからだ。例えば、中国語の構造は英語に近く、語学習得のときに有利なのだ。
日本語特有の癖を克服する方法の一つは、英語の海に飛び込み、慣れてしまうこと。同校では中学段階から英語を使うためのプログラムがいくつも展開されている。高1の12月に行われる「スピーチコンテスト」は、英語4技能だけでなく、物事をわかりやすく伝える力も育まれる。テーマは「尊敬する人物について」。高1の夏期休暇にA4用紙1枚程度の文量の英文にまとめ、休み明けに推敲を重ねたのち、クラス内で全員が発表する。推敲ではネイティブ教員から直にアドバイスを受けているため、クラス内といえども発表はどれもハイレベル。そこからクラス代表として2〜3名が選ばれ、12月の発表へと進む。
生徒が取り上げる人物は実に多様だ。パイロットを夢見ていた男子生徒はライト兄弟についてまとめた。英語科の芳賀大輝教諭は「彼は本校を卒業後、夢をかなえるためにアメリカの大学に進学しました。自分で調べ、発表するという経験をしたことで、ますます思いを強めたのでしょう。キャリア教育にもつながった好例です」と語る。
高1での経験を深め、高2では「イングリッシュエッセイ」に取り組む。ライティングを軸とし、高2終了時には単語数200語程度の英文が書けるようになることをめざす。「日本語的な表現をそのまま英語にするのでなく、まずは表現したいことを日本語で噛み砕く。そうすると、自然と論拠が明確になるので、論理的かつ簡潔な英文を書けるようになります」と竹内教諭は語る。