非公開:
国士舘中学校
共学校

実践重視の英語教育は週10時間もある
機会を与えれば生徒は何事もやり遂げる。
相手や異文化への敬意の心を生かして
[ この記事のポイント ]
①中3「社会科校外学習」は教科横断型の学びの場。
②言語習得のプロセスに沿った中1からの段階的な英語教育。
③武道教育で相手への礼節や尊敬の心を自然と身につける。
国際交流の場にもなった社会科校外学習
「私たち教員は、生徒に『こうなってほしい』という思いがあります。しかし、大人がつくった型にはまるよう誘導するのではなく、様々な経験を通じて力をつけ、各々の課題を克服し、目標を達成できる人になることを期待しています」と、同校の後藤晃志・高校教頭は語る。
それをかなえるために、同校の6年間にはあらゆる経験の機会が用意されている。「あらゆる場を通じて生徒は学び、力をつける」という後藤教頭の言葉を裏付けるように、同校の生徒は探究心と好奇心を発揮しながら目の前のことに取り組んでいる。
例えば、中3の2月に行われる「社会科校外学習」でのこと。この校外学習は社会科学習の総まとめとして行われ、首都・東京の伝統的な部分、近代的な部分の両面を探ることがテーマ。学習の一環として、江戸切子や飴細工といった伝統文化に触れるために浅草を訪れることが恒例となっている。浅草といえば東京都内でも外国人観光客が特に多い土地。毎年、生徒には事前に英語で外国人と交流することをアドバイスしていたが、「こちらからあえてそれを言わないことがあった。そうしたら、生徒は自分から話しかけていた。チャンスがあれば海外の人と会話したい、交流したいと日頃から思っていたことが窺えました。それをきちんと実行に移す行動力にも驚かされました」と、神山優子・中学校教頭は語る。英語がコミュニケーション手段であることを、同校の生徒は自然と理解しているのだ。
こうした姿勢は日頃の英語教育で培われている。同校の英語科の授業は週10コマあり、毎日1時間目は全学年でコミュニケーション英語を実施。英語学習の導入段階となる中1では歌を唄いながら発音を身につけ、中2・3では多読に注力。辞書を使わずに絵本を読むことからスタートする。神山教頭は「英単語を覚えてから英文に当たるのでなく、絵本の絵からストーリーを読み取り、そこに必要なニュアンスの英単語や英文がイメージできるようになります。その後、徐々に難易度の高い本にも挑戦する。インプット型の学習ではなく、幼い子どもが言葉を習得する時と同じプロセス」と語る。
中2では全員参加のブリティッシュヒルズ英語研修のほか、希望者向けにオーストラリアでの海外語学研修もあり、実践の機会も豊富だ。