田園調布学園中等部
女子校

「探究」の授業での調査結果を発表する様子
不十分な応用力育成は日本の教育の弱点
社会の実態を把握する力を育む統計学
[ この記事のポイント ]
学校教育と実社会の架け橋となる独自のプログラムを実践。
課題解決のサイクルになぞらえて学びを進める高1「探究」。
統計学から他教科との連携も視野に。
自分の興味や関心から学べる 高1の「探究」
田園調布学園の独自のプログラムである「土曜プログラム」は、学年ごとに設定されたテーマを学ぶ「コアプログラム」、約170講座から生徒自身が興味や関心のあるものを選択できる「マイプログラム」から構成されている。日頃の教科学習で得た知識やスキルを大学進学後や実社会で活用する実践・応用力として昇華させることが狙いだ。
19年度からは、高1のコアプログラムのテーマとして「探究」を設定。課題の発見、それを解決するための情報収集、分析やアウトプットといった〈スパイラルアップ〉のサイクルをたどりながら、課題発見・解決力の育成をめざす。「人文科学探究」2コース、「自然科学探究」1コースが設けられており、生徒は希望のコースを選択できる。
自然科学探究では、理科や数学、情報といった理系分野のテーマを設置。中には卒業生たちから寄せられた意見から生まれたテーマもある。数学分野の「身近なデータから分かることを統計学で分析しよう」だ。「現行の学習指導要領では、統計学は必修ではありません。しかし大学進学後、文系・理系を問わずに授業で統計を扱う機会がかなり多く、中高で学んでおきたかったという声が挙がっていました。近年の情報化社会の進展もあり、本校では5年ほど前から統計分野の指導を強化してきたものの、時間の制約で方法論や計算の仕方の理解のみにとどまっていました。『探究』では、実際に大量のデータを扱いながら、統計学の活用方法を習得していきます」と数学科主任の長岡敬佑教諭は語る。