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海城中学高等学校

更新日 : 2018/06/06

生徒の可能性が無限に広がるクリティカルシンキング育成の現場 ~海城中学高等学校~

明治24年に海軍予備校として創立。戦後はリベラルな校風の進学校として多数の東大合格者を排出してきた海城中学高等学校。そして現在、同校の教育は大学進学実績に留まらず、その先の人生を豊かにする「クリティカルシンキング=創造的な知」の育成へと新たなステージに移り、様々なプロジェクトを展開している。

課題設定・解決能力を養う「社会科総合学習」

 1992年にスタートしたオリジナル教科「社会科総合学習」は、今や海城の伝統の一つになっている。受験に必要な教科としてではなく、「社会」のおもしろさ、興味を引き出し探究するために、中学3年間にわたって週2時間、通常の社会科とは別枠で「社会Ⅰ~Ⅲ」を設定。定期考査は実施せず、各学期にレポートを課し、成績算定が行われる。授業では、資料・文献へのあたり方、レポート・論文の書き方、取材、プレゼンテーションのやり方といったアカデミック・スキルを段階的に身につけていく。ほかにも担当の社会科教員の興味・関心のなかで様々なテーマを扱い、生徒の知的好奇心を刺激していく。例えば、法学が専門分野の教員は、中1の授業で「死刑制度」を取り上げている。まず教員が制度の概要と現実をレクチャーしたうえで、クラスを否定派と肯定派に分け、それぞれの立場に立って意見を言わせる。次に全員が否定派、逆に肯定派になって、再度、意見を求める。短い時間のなかで、「犯罪抑止効果」「応報刑思想」「教育改善刑思想」「遺族感情」「えん罪」「憲法論」などの言葉が飛び交う。白熱する意見の応酬で生徒は、「ディベート」を学び、その力を鍛える。

 中3では集大成の卒業論文に取り組む。「卒論のテーマは自分が興味を持つ身近な社会問題を、どこまで広げていけるかが鍵となります。安直なテーマを選べば、他の生徒から突っ込みが入りますが、身の丈に合わないテーマでも続かない。そこは教員とのキャッチボールで着地点を見出していきます」と社会科主任の岡部睦史教諭。1学期にテーマを決め、取材やフィールドワーク、文献収集を行い、2学期末までに原稿用紙30枚以上の卒論に仕上げる。序章から章立てて構成され、引用元、参考文献、取材先等も明記した本格的なものだ。湿原の保全をテーマにした生徒は夏休みを利用して北海道をはじめ、全国の湿原を実際に見てまわったという。医学部志望が多い海城らしく、医療従事者や施設事業者などに取材したものも多い。現場の声を聞き、疑問に対して簡単に解決策の見つからないもどかしさに葛藤する生徒もいるが、それこそが「学び」だと岡部教諭。「安易な対策の提言ではなく、問題を整理し、考え、分析する時間が大切なのです」。そうして完成した論文のうち優秀作品は冊子にまとめられ、中3の3学期にはプレゼンテーションが行われる。「看護師の人手不足ー改善策としての男性雇用ー」、「新宿区における孤独死問題ー二つの団地を例に考えるー」、「日本のフードバンクーアメリカ・韓国から学ぶ改善点ー 」など、大人から見ても興味深いタイトルが並ぶ。また、「保育のあるべき姿とはー株式会社参入による影響の面から考えるー」、「待機児童問題の解消ー国や自治体の取り組みからー」など、男子中学生がこのような問題に関心を持っていることがうれしくなるような論文もある。海城が教育目標として掲げる、社会の変化に対応し、未来を担っていける「新しい紳士」の姿を、そこに垣間みることができる。

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