留学/国連

<国際公務員をめざす>
重要なのは、高い専門性とコミュニケーション力
多国籍チームで世界の問題に果敢に挑む

更新日 : 2019/06/05

世界銀行東京事務所 防災専門官 竹本 祥子 (たけもと しょうこ)

<PROFILE>

米国マカレスター大学(国際学・環境学専攻、地理情報システム副専攻)卒業後、世界資源研究所(WRI)でのインターンを経て、東京の環境コンサルティング会社で日本・アジアにおけるバイオマス資源を活用したビジネスや気候変動緩和策のプロジェクトに従事。マサチューセッツ工科大学大学院にて都市計画(環境政策・プラニング)修士を取得した後、国連開発計画(UNDP)ガーナ、アジア太平洋地域事務所(フィジー)でアフリカ、島嶼国の気候変動適応策に取り組む。2017年より現職。


憧れの職業に「国際公務員」をあげる生徒が増えている。しかし国際機関で働く日本人職員数は、分担金に比して少ないのが現状だ。国際機関を受ける日本人にとって特にハードルとなるのが、高い専門性を伴ったキャリアだという。今回お話を伺った竹本さんは学部生時代から環境問題一筋のエキスパート。彼女の一貫したキャリア形成は、今後国際公務員をめざす学生にとって重要なロールモデルとなるに違いない。

留学先で芽生えた国際公務員への道

 もともと日本と米国を行ったり来たりの生活でした。父の仕事の関係です。その後日本の高校を卒業し、大学へ進学したのですが、“もっとディスカッションベースで考える力を育みたい”との思いから米国の大学へ入学し直すことに。ミネソタ州にあるマカレスター大学でリベラルアーツに触れる中、3年次の一学期間、スペインへ短期留学しました。そこで世界自然保護基金(WWF)という環境NGOのインターンに参加したことが、その後の私の人生を大きく変えることになったのです。WWFで取り組んでいたのは地中海の環境保全活動でした。地中海は小さな海ですが、ヨーロッパ・中東・アフリカに面し、種々様々な言語や文化が混在しています。そこはまるで小さな世界のよう。たった一つの国が抜けてしまうだけで、どうしても共有する地中海の生態系や資源を守れない状況が生まれてしまうという特殊な環境に、難しさと面白さを感じました。「国際的な立場で環境問題に取り組みたい」という意識が芽生えたのはこの時です。そこで大学に戻ってからは、国際学と環境学を専攻し、地理学を副専攻しました。

 卒業後はワシントンD・C・にある世界資源研究所というシンクタンクにインターンとして参加。希望が叶い嬉しかったのですが、自分の専門性不足を痛感する日々でもありました。「数少ない日本人として、自分にしかできない得意分野をつくりたい」。そこで、日本での経験や知識を積むために、日本の環境コンサルティング会社に就職したのです。いずれ国際公務員になるという目標を抱いていたので、JPO派遣(※)への応募に必要な「修士号と2年の職務経験」を念頭に置いていました。ここではCO2削減のためのバイオマス利用に取り組みました。実際に森林や養豚場へ赴きバイオマス資源を集めたり、東南アジアにおけるバイオ燃料の環境負荷について調べたり。折しも日本では京都議定書の採択に伴い、チーム・マイナス6%に向けた取り組みの真っ最中。「マイナス6%」という科学的な数字を、実際の暮らしの中にどう具現化するかという課題にも大変興味がありました。そこで2年の職務を経て、マサチューセッツ工科大学(MIT)に移り、都市計画の修士号を取得し、環境政策を学ぶことにしたのです。

 MITの学びはしばしば「消火栓ホースから水を飲む」ことにに例えられます。本人のやる気と努力次第で、それこそ放水を浴びるかのように研究できるからです。履修単位や専門範囲の制限はなく、やりたければ何をやっても、どれだけやっても構わない。だからこそ〝自分が何をしたいか〟が常に問われる環境でした。自分が面白いと思うことを探究し、それを楽しむ。そのようなMITのメンタリティは今も私の中に息づいています。

(※)JPO 派遣制度…国際機関を志す若者を支援するプログラム。日本政府が経費を負担して当該機関に一定期間派遣し、正規採用へとつなげることを目的とする。修士号と2年以上の専門分野での職務経験が条件。

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