留学/国連

<英国の大学・大学院の教育事情>
大量の読書にレポートと激論…世界の学生と学ぶ英国流の批判的思考

更新日 : 2018/06/07

「留学」といえばまず米国を思い浮かべる方も少なくないだろう。しかし最新の世界大学ランキングによると、1位、2位を独占したのは英国である。世界有数の教育大国、英国。世界最高水準の高等教育では今、何が行われているのか? 果たして日本の大学との違いは? 英国の公的な国際文化交流機関であるブリティッシュ・カウンシルを取材し、その教育内容の実態を探った。

英国の大学・大学院は、競争原理の中で磨かれる

 2017年9月、英タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)が最新の世界大学ランキングを発表した。それによると、1位オックスフォード大学、2位ケンブリッジ大学、8位インペリアル・カレッジ・ロンドンとトップ10のうち3校が英国からランクイン。「教育大国英国」が、世界的な指標においてもその質の高さを認められた形だ。英国がそれだけの水準を維持する背景には国の施策がある。英国にある約160の大学はほぼすべてが国立。これらの大学に対しQAA(高等教育質保証機構)という機関が定期的に厳しい審査を行っており、国レベルで大学の質を保証する制度が整えられているのである。その他TEF( 教育の質に関する全国審査)やREF(研究の質に関する全国審査)など公的なアセスメントが積極的に行われており、大学は激しい競争社会にある。そのため英国のどの大学に進学しても、教育内容、教授陣、施設、サポート体制などにおいて一定の水準が約束されているのである。

 もう一つ、日本の教育制度との大きな違いがある。在籍年数だ。日本の大学における学士課程は通常4年かかるのに対し、英国では3年で卒業可能( スコットランドでは4年。医・歯・獣医・建築学部など特定の専門科においても4年以上になることがある)。また、日本の大学院における修士課程が2年かかるのに対し英国は通常1年と短い。それは日本の教養科目にあたる授業がなく、入学直後から専門的な学問に取りかかるためである。やりたいことが明確に決まっている学生にとっては有利なシステムだ。ただしその制度の違いから、日本の高校を卒業してすぐに英国の大学へ留学することは一般的に難しい。「ファウンデーション・コース」と呼ばれる大学進学準備コースで、まずは約9ヶ月間の準備期間が必要となる。

 留学生がスムーズに大学へ進学できるよう設けられたのが、ファウンデーション・コースだ。ここでは英国の大学教育を受けるにあたって必要不可欠なスタディスキルを身につけることができる。第一に「エッセー( 小論文)の書き方」である。英国はプレイジャリズム(剽窃)に対しとても厳しい。他人の書いたものをそのまま流用することは犯罪であり、その事実が露呈した場合には退学になることすらある。そのため、文献の引用方法や言い換えの仕方、書いてあることの要点のまとめ方などを徹底的に学ぶ必要がある。第二に「文献の読み方」だ。エッセーでも多くの文献にあたるが、授業の事前課題としても大量の文献が与えられるのが英国の特徴。現地の学生ですら音を上げそうになるほどの分量を、英語を母語としない留学生が対等に読み込まなければならない。そこで、要点を拾い読みするための「スキミング」という速読法を学ぶのである。同コースではその他、リサーチやプレゼンテーションの方法など実務的なスキルの習得に加え、希望する専攻科目の基礎内容もカバーする。こうして約一年間しっかりと準備段階を踏んだ上で、いよいよ大学の正規課程に進むことになる。

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